NHKの「100分de名著」では、サン=テグジュペリの『人間の大地』を取り上げている。案内役はフランス文学者の野崎歓氏。第3回を視聴した。
砂漠に落っこちる。印象的なサブタイトルだ。第1回、2回と違うテイスト。誰が考えたのだろう? 野崎先生? 番組スタッフ?
砂漠と『星の王子さま』へのつながり
今回の内容は、サン=テグジュペリの代表作『星の王子さま』を思い出させるものだった。彼自身が砂漠に不時着し、そこで体験した孤独や死と隣り合わせの時間は、『星の王子さ』の後半の、水が無くなり井戸に歩いて行くシーンにつながる。
砂漠は、生きることの根源的な問いを突きつける場所として描かれている。
他者を思う心
過酷な状況に置かれても、サン=テグジュペリらがまず思い浮かべるのは、自分の命ではなく、心配している家族や友人のことだった。人は絶望の中でも、他者を思いやることで心を支えられる。第1回の「飛行機乗りの仲間たち」で語られたことのリフレインである。
きつねはフェネック
番組では、『星の王子さま』に登場する「きつね」のモチーフが、サン=テグジュペリが実際に砂漠で出会った砂漠の狐、フェネックだという解説があった。『星の王子さま』のきつねの耳が妙に細長かったのは、そのためだったのか、と納得。
救助のエピソード
そして、砂漠での遭難から奇跡的に救助されるエピソードは感動的だった。
助けてくれた個人でなく人というもの全体を信頼するに至るサン=テグジュペリの体験はこの人ならではのユニークなもので、新鮮な喜びを感じた。
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